ヒグマ屋台@函館国際科学祭

こんにちは、クマ研道南支部のウコです。
最近は暑さも山を超え涼しいですね。

先週土曜日に函館市で開催された「函館国際科学祭」の企画展示の一つである「ヒグマを知ろう」という企画に参加してきました。以下はその内容です。
”ヒグマ”が抜けていますが、看板です。。


函館科学祭とは、毎年函館市で開催される一般の方向けの科学普及イベントのようなものです。環境・食・健康の3つのテーマの内の1つを取り上げてテーマに沿ったイベントを開催するようになっています。今年のテーマは環境だったので、ヒグマに関する企画が開催されたようです。(このイベント自体初めて参加したので詳しい経緯は知りません)

今回のヒグマ屋台は、知床財団よりベアトランクキット(末尾のメモ参照)をお借りして、屋台に訪れた方々にベアトランクキットを使ってヒグマの解説をする、という内容でした。

来場者には、最初に頭骨クイズ(シカ・トド・ヒグマの頭骨を当ててもらうクイズ)を出してみました。(下の写真、種類わかりますか?)


大体の人はパッと見た感じでシカは当ててきます。難問はトドとヒグマの頭骨で、しばらくどちらか悩んでもらいます。そこでヒントとして、顎を外して奥歯の形に注目してもらいます。トドは魚食性なので奥歯も鋭い犬歯、ヒグマの奥歯は草をすり潰せるように臼歯、なので歯の形態が違うことを教えます。

かなりの人がここまでヒントを与えるとトドとヒグマを見分けることができていました。一般の方の抱いているヒグマのイメージは「ザ・肉食」だと思っていたので、来場者がヒグマは肉食でないと認識していることに驚きました。

ただ、ヒグマは木の実を食べるから、という理由が多くて、草本類を利用することを知っている人はいませんでした。木の実を食べるというイメージはドングリが不作の時にヒグマの出没が増えるとか、痩せた個体が出るといった、過剰な報道の結果でしょうか。ちょっと皮肉ですね。。。

頭骨クイズが終わったら、糞内容物を紹介し、ヒグマの食性が植物質中心の雑食性であることを教えます。来場者にとってヒグマがアリやセミの幼虫を利用することは意外であったようで、興味深く見ていました。
説明するカエルくん



やはり、消化が上手くないことが気になるようで、食べる意味無いじゃん!とビックリされる方もいました。(いや、クマ糞を食べると味は抜けているから養分はしっかり吸収できているぞ!、とは言いませんが)

あと、天塩で撮影したクマの痕跡写真や大雪のクマの写真を見せて、調査について紹介もしました。屋台に来た中学生をクマ研に勧誘しましたが、嫌そうな顔されました(泣)

毛皮はかぶってみたり撫でてみたり、説明しなくても楽しめるので基本的には放置プレーでしたが、興味がある方にはオス2才でこれだけ大きくなる、ということと毛皮の主である「イワちゃん」(名前は岩尾別川より)が毛皮になるまでの話をしました。

怖がる子供も、喜んで被る子供もいました。
ヒグマのレクチャーをしてみて1点反省したのは、相手が何を知りたいのかを考えずにしゃべりすぎたことです。(泣)

聞き手に回るのも重要ですね。


最近函館でもヒグマの出没が目立ってきているので、今回のイベントが市民のヒグマに対する意識の向上につながれば良いなあ。。。

では、長文失礼しました!

次回は僕の暮らす檜山地区について取り上げてみたいと思います。乞うご期待(^_^;)








メモ;ベアトランクキットとは、ヒグマの毛皮・頭蓋骨・サンプル瓶に入ったクマの糞内容物を初めとする、ヒグマの生態を知る上で欠かせないものが入ったトランクのことです。(ベアトランクの解説が書いてるpdfが見れます。)



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