ご無沙汰してます!
6年目のイトウです。
今夏の渇水にも負けず問寒別を目指しまだまだ遡上中です。お前まだいたんかい。今日はこの夏の哺乳類学会でのポスター発表と大学の定例会見への参加を報告していきたいと思います。
【クマのクマ糞、はじめました】
今夏、イトウが問寒別を目指していたころ、クマ研6年目の同期CAT主導のもと「ヒグマの糞から幼獣が出てきた!?:長期モニタリング調査が可能にした発見」(勝島日向子・伊藤泰幹・富田幹次)というポスター発表を哺乳類学会で行いました(要旨はこちらからダウンロード可能です。https://www.mammalogy.jp/conf/2021/program.html)。
これは2017年の春の天塩調査で私達が発見した「ヒグマの糞からヒグマが出てきた」という発見が基になっております。
「ヒグマの糞からヒグマが出てきた」とはどんな意味か?
これはヒグマを食べた別のヒグマが排泄した糞を発見したということです。
しかもその中身が子どものヒグマ(おそらく生まれて冬眠穴から出てきてすぐの幼獣)だったのです。
クマ類では共食い現象が報告されています。アメリカやスカンジナビア半島では内容物が幼獣のヒグマが含まれる糞や食べられた跡がある幼獣の死体の発見を報告している先行研究があるのですが、北海道ではまだ報告された事例がありませんでした(成獣ならいくつかある)。
ヒグマにはオスの成獣グマによる子殺し行動がわかっており、今回の結果もその一端かもしれません。
かなり珍しい発見なので学会発表で終わらず論文化を目指して執筆を頑張っております。
【記者さんたちに囲まれました】
修論計画を固めきれないイトウが問寒別近辺をうろうろしていたところ、先輩のT氏に釣りあげられ、報道機関向けの北大定例会見に出席することになりました。
今年の8月、クマ研による天塩研究林での40年に渡るモニタリングデータを用いた研究が国際誌に発表されました(Takinami et al.2021)。これはイトウがクマ研に入り問寒別川に通うことを覚えたころ、先輩方が何やら「GIS」たるソフトと格闘し、生み出していたデータが国際誌の論文となったものでした(内容はいつかブログ記事になってくれるでしょう…たぶん)。
そんな功績から、今回北大の定例会見で大学側からお声がかかり、イトウが現役(?)クマ研人として、北大クマ研の紹介をさせていただきました。クマ研が普段どんな調査をし、それがどんなことにつながっているかを短くまとめたつもりです。
ちなみにイトウは緊張しっぱなしで、始まる前も大学の職員さんに慰められる始末…いやはやお恥ずかしい。
クマ研からはもう1人、前述の論文の著者の1人でもある環境科学院のT氏が参加しました。T氏からはTakinami et al.(2021)の研究紹介とご自身の研究である知床のセミを食べるクマの研究発表がなされました(セミを食べるクマは11/8の北海道新聞や11/5の読売新聞でも取り上げられたそうです)。
他にも北大獣医学部下鶴先生らのグループによる知床での食性変動に関する研究結果や坪田敏男先生による道内で起こっているヒグマ出没問題に関する問題の整理などが行われました。
発表中のイトウ(北海道大学広報課提供) |
記者からの取材に答えるT氏とイトウ(北海道大学広報課提供) |
詳細は北大のHPを見ていただけると幸いです。
https://www.hokudai.ac.jp/introduction/gov/office/pr/press-conference/R3.html#6
英語版はこちら(in English)
https://www.global.hokudai.ac.jp/blog/why-do-brown-bears-frequent-towns-more-than-before/
クマ研は学部生主体ということもあり、発表に漕ぎつけない調査研究も多々あります。
しかし、せっかくとったデータが身内での知見にとどまってしまうのはもったいない。今後も現役(?)上級生(学部4年目や大学院生)がフォローして学会や論文などで調査研究を発表していきたいですね(うおー!修士の研究頑張るぞぅ!!!)
イトウ
サムネが完全に省庁の記者会見のそれですね
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