2025 大雪山調査

 はじめまして、クマ研1年目のライオンの滑り台です。

 

 私にとって初めてのクマ研長期調査は大雪山調査でした。この調査は8月上旬から9

月上旬の約一ヵ月間、標高1900m程の高さにある石室でテントに泊まりながら調査地へ赴きクマの行動観察を行います。一週間ごとに隊員は入れ替わり、私は第三週目で入山しました。今回はこの調査で私が体験したことについて紹介します。

 

まず、層雲峡からロープウェイ・リフトに乗って黒岳7合目まで行きます。その後黒岳を登頂し石室へと向かうのですが、ちゃんとした登山経験がなかった私にとって約1時間半の登山はとてもきつかったです。体力をつけるなど、事前準備をもっとしておけばと後悔しました。

黒岳山頂からの景色 残念なことに霧で視界不良だった

 

 石室に到着して夕食と反省会を行った後はすぐに就寝となります。私の週では18:30就寝3:30起床で、とても健康的な生活を送ることができました。

 起きて朝食をとった後、反省会で決まった隊に分かれて調査地へと向かいます。今年は桂月岳、御鉢平、北海岳が調査地となっていて、私は桂月岳と御鉢平で調査しました。この二地点について説明します。

 

桂月岳では頂上にある岩場で座りながら10時間程隣の凌雲岳をくまなく観察しクマがいないかどうか探します。ここで大事なのがシカを探して目を慣らしておくことです。桂月岳の調査が一番クマを見ることができるのですが、だからと言ってすぐに見つかるわけではないですし、視界が晴れていないとクマがいたとしても観察することができません。少ないチャンスをものにするためにこの工程はとても重要なのです。

桂月岳から見る凌雲岳の斜面 シカがいるのでぜひ探してみてください

 クマが出てきたら観察係と記録係に分かれてどのような行動をしているのか、時刻も含め記録します。そこまで大変というわけではないのですが、長時間しているとさすがに疲れます。過去の調査では1時間以上観察を続けたこともあるそうです。

 


観察中に見られたヒグマ やはり生で見るととても興奮する

 

 また大雪第三週中に前期の成績開示があり、桂月岳の山頂で見ました。皆さんは授業には絶対遅れないようにしましょう。

 

 

 御鉢平では展望台からクマがいるかどうか観察します。陽が出ている日は岩に寝そべり温まりながら観察できると聞いていたのですが、私が行った時は大雨の前日であるためなのか視界が晴れずまともに調査できない上、強風と寒さに10時間耐えなくてはいけないという苦行へと変わり果てていました。私が虫好きというのもありますが、調査中、足元を平気な顔して歩いているザトウムシと風で飛ばされてきた綺麗なセイボウだけが心の支えでした。

リンネセイボウ


ハネカクシの仲間

 

 また御鉢平の周りのハイマツではシマリスの球果食痕も見ることができました。自分が予想していたものよりもかなりきれいに食べられていて、リスの器用さにかなり驚かされました。

シマリスの球果食痕 

 

この調査を通して多くの素晴らしい経験を得ることができました。特に記憶に残っているのがクマの背擦り行動を実際に見れたことです。これを見てクマ研に入って本当に良かったと思いました。

背擦りの跡 木はダケカンバ

 

 しかし反省すべき点も多かったのも事実です。反省から学び、パワーアップして来年の大雪山調査に参加したいものです。

 次回の更新もお楽しみに。

 

 調査中に気になった生物

ヤドリバエの仲間(セスジハリバエ?)


  8/28に桂月岳で観察。この日は陽が出ていて暖かく寄生バチやクモなど様々な小動物が岩場で見られた。このハエは調査中1個体しか確認できなかったうえ、前日の天候が荒れていたため高山帯に生息しているとは考えづらい。見返してみたが私の撮影技術が足らず不明。もっと磨かなければ......

 

オニグモの仲間の雄


 8/24に桂月岳で観察。こちらも同様日当たりのいい日に岩場で見られた。形態からしてオニグモの雄であることは間違いないと思うが種同定できず。一部のオニグモは高山帯での生息が確認されているがオスの写真が見当たらず不明。

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